昨今、メンバーさんからの就労相談において、求人票に記載された職務や労働条件と、労働契約時にかわされる内容のそれに、著しい違いがあるケースが、見られるようになってきた。
平たく言えば、「求人票の虚偽記載」といえる。
しかし、支援者が理解しておかなければならないのは、求人票と労働契約書は大きく違うということだ。
求人票はあくまでも「広告」であり、労働時間・職務内容・就労場所・賃金・福利厚生等は、あくまでも労働契約書に基づくのだ。つまり、それだけ「契約書」は大切なのだ。
なぜ、こんなことがまかり通るか?
法律では、求人票(広告)を見てきました、契約します(仮に条件が違ったり、合わなければ)となったとき、嫌だったら契約しなければ良いのである。つまり、本人の自由意志で契約を破棄できる限り構わないとなっている。
これが意図的であるならば、当然処罰されるが、それを証明するのは簡単ではない。
企業側からしたら、人手不足なので「良い条件の求人票」を出してしまう。これには取り締まりはないので、他の企業もやってしまう。やらざるを得ない。ということは、正直な企業ほど、低条件に見えてしまうという、おかしな現状になっている。
そこで、求人票の見分け方をアドバイスしておく。(参考程度にしていただきたい。)
大きく2通りある。
ひとつ目は、
曖昧な表記の求人票
例
給与25万(残業した場合もしくは、手当て含む)
裁量労働制
管理・監督有
等のキーワードがあるもの
二つ目は
何の条件も書いてない求人票などもある。
どのタイミングで起こりやすいかというと、他の企業のオファーを断ったり、前職を退職してから契約するときにトラブルになりやすい。つまり、当人が後に引けなくなる状態のときである。
一番の問題は、上記のような「手口」をブラック士業(社会保険労務士・弁護士、人材コンサルタント等)が、企業へ売り込んでいる現状がある。社労士が関わった事件では名古屋の「首切りブログ」(社員を鬱にさせて会社を辞めさせようみたいな記事を載せていた)で処罰された事件が記憶に新しい。
ゆえに、我々は就労支援方法だけでなく、広く法律制度を勉強し、メンバーさんが働く現場でこんなことを起こさせないよう警戒心を持って、仕事に携わることが重要になってくる。最低でも求人票の見方の知識は、身につけるべきだ。
「求人票は広告なんだ、誇張されてる可能性をはらむのだ」ということを、肝に銘じておかねばなるまい。
確かに、ハローワークでも有料職業紹介業でも、内容審査はしているが、怪しいと思わねばなるまい。それよりも、自らの目で見分けられないまでも、「気がつく」「おかしい」と思うことは出来るはずだ。
対策としては、求人票を取っておく、記録しておく、ICレコーダーなどで、面接の録音もお勧めだ。(犯罪にはならない有効な手段である)
ちなみに、有料職業紹介業を解説しておく。
「有料」とはその業者に求人票を出している企業が、お金を出して「求人広告」を出している。有料職業紹介業の仕事は、求人を出した企業、つまり「顧客」の課題を解決する仕事である。課題とは「顧客の採用を成功させる」(あくまでも、メンバーさんの雇用を成功させるためではない。)この一点につきるのだ。
広告にはJAROはあるが、求人広告には何もない!!これが現状だ。
加えて、求職活動は、ある意味、その人のライフイベントであり一生に数回あるかないかなので、気づきにくいこともあれば、文句を言いにくい環境であることも確かだ。こういった仕組みや環境が、諸問題を表面化しづらくさせている。
表面化しにくいこれらの課題を、メンバーさんや企業だけの責任に帰結して良いのか。いや、支援者の見識スキル、職業哲学が大きく問はれねばなるまい。